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クジラの彼

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いい年した大人が活字でベタ甘ラブロマ好きで何が悪い!

というわけで、有川さんと同じく開き直ってみましたがどうでしょうか。さて今作は自衛隊を舞台にした恋愛絡みの短編集なのですが、うち数編が「空の中」や「海の底」のスピンオフものです。ですから、まだ読んでいない方はぜひ先に両作品を読んでみて下さい。あの人やこの人のその後が描かれていたりでニヤニヤとする事ができますぞ。(以下ネタバレありの感想です。)
■クジラの彼
表題作。海の底の番外編。海の底に登場した冬原のお話です。本編では飄々としていて女慣れしているイメージだったけど、実際はこんなにナイーブだったんだな……と。ん、ナイーブっていうのとはちょっと違うか。相手への負い目というか、潜水艦乗りの恋愛はそれだけ過酷だって事だし。待てなくなったらいつでもやめていいってのが大前提なのはやっぱ辛いよなぁ。それだけにこちらの主役である聡子の強さが光ってる気がした。

■ロールアウト
軍用機の設計に関するお話。なんだけれど、焦点はトイレ。確かにこれは内部に情報提供者がいないと書けないよなぁ(笑)と。現場はいつだって過酷だ。試着室のようにカーテン1枚で仕切られた場所にトイレがあって、カーテンの先には普通に人がいるような状況で大きい方の用がたせる人ってのはそうそう居ない筈。外野としてはちょっと笑えるお話でも、実際現場にいる人間からしたらトイレは切実な問題だろうな。とちょっと考えさせられたのでした。

■国防レンアイ
WAC。女性陸上自衛官の恋愛話。ベタで正統派ながらお気に入り。女性自衛官特有の悩みが噴出していて面白かった。結構生々しい会話も含め良かった。展開については定番だけれど、伸下がキメるとこでキメてくれたのが結構気持ちよかった。「お前よりちっちゃい女が一生懸命国防やってんだよ、労いこそすれ恥かかすとこじゃねえだろが」ってセリフには結構痺れた。それまで都合の良い男という立ち位置だっただけに。こういう二人にはぜひ幸せになって欲しいもんです。

■有能な彼女
お待ちかね、海の底に登場した夏木と望のその後の話。本編では高3だった望が社会人として登場。この子は本当に強くなったなぁ。本編で既にその素質を垣間見せていたけれど、それがここに来て炸裂してる感じ。聡子も強いと思ったけれど望はその比じゃないなぁ。あの夏木を弱腰にさせちゃうんだから大したもんです。内容的にはクジラの彼のお話をを男側の視点で見てるような感じ。もちろん主役は夏川なので考え方は少し違うんだけれど、それでもやっぱり潜水艦乗りの恋愛は大変の一言に尽きますな。

■脱柵エレジー
若気の至りが満載。色恋沙汰で脱柵する新人隊員を諫める清田和哉二曹のお話。悲劇のヒーロー・ヒロイン症候群か。なんというか子供の頃と大人になってからの恋愛の対比って感じだなぁ。判りやすさを重視する為か、過去の恋がかなり軽はずみでしょーもない物として書かれていますが、本当はああいった惨めな経験もまた糧になるんじゃない?という類のお話のような気がしました。清田和哉二曹と吉夕子三曹の今後も気になるところですね。

■ファイターパイロットの君
空の中からのスピンオフ作品。航空自衛隊の女性パイロットが結婚後もパイロットで居続ける事が如何に難しいかというお話。両親との軋轢・妊娠出産・子供への負い目。「自分よりも飛行機が好きなんだと」祖父母に吹き込まれて悲しむ娘を説得する父親の言葉にジーンとした。勘を失う事を恐れ跳び続けるパイロットにとって飛行機に全く乗らない期間を一年作るという事がどれだけ大変な事か。それでも「君を産むことをまったく迷わなかったんだよ、君のママは」と。それは疑うべくもない愛情だと。しかし保育園の年長組になったばかりの娘になんと酷い事を吹き込むんだ祖父母!とひたすら憤った一編でした(笑)

全編通してとても面白かった。持ち味であるセリフと地の文のギャップというか、セリフはかなりくだけているのに自衛隊の内部描写が妙に秀逸だったりする独特の文章力は今作でも健在でした。有川さんには今後もぜひこの路線を継承していって欲しいと思います。未読の方には「空の中」「海の底」ともども推薦しておきます。

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